過剰な叱責が、積極的な心や挑戦心を削ぐ

[3]良い「切り返し」は、「構え」が命

この切り返しを実行するためには、親には事前の「構え」が必要です。

「子どもは自分でやりたがるだろう」
「頑張るけれど、きっとかけ違えるだろう」

という前提です。子どもの行為の根っこにあるのは「成長したい」という願望。

ここで、立ち止まって考えます。どんな子どもに育って欲しいですか。

言うことをよく聞いて、親が世話して指示通りに動く人間になって欲しいですか。

それとも、自ら成長を望み、困難にもチャレンジしていく人間になって欲しいですか。

ボタンを自分で掛けるという小さなことですが、子どもにとっては、毎日が人生の壁を越えるための本気のトレーニングです。

今の子どもたちに求められているのは「アクティブ・ラーニング」の力です。

言われてやるのではなく、主体的かつ協働的に動く子どもが求められています。命令され、何でもやってもらい、失敗経験を否定されてばかりの子どもは、アクティブ・ラーニングとは真逆の方向に育ちます。

そう考えた時、手間はかかっても子どもにやらせた方が費用対効果は高いといえます。否定しようが肯定しようが、どうせバスの時刻ぎりぎりになるのですから、そこを親が選択すればいいのです。

すぐには変わりません。しかし、だんだんと変わり始めます。子育てをしていると、思い当たる節が多々あるのではないでしょうか。

いきなり立てる人間はいません。

赤ちゃんは「100回挑戦したけど立てなかったから自分には無理」とは思いません。人間は、もともと失敗に対して強くできているのです。仮に弱くなる人がいるとすれば、その原因は「誤った教育」にあります。

安全のために危険を回避する能力は必要ですが、必要以上の叱責が積極的な心や挑戦心を削いでいるのが事実です。

そう思って構えていれば、対応の仕方が変わってくるのではないでしょうか。