「グズな子」をテキパキ化させる方法

[2]「切り返し」の仕方で子どもは180度変わる

何度も同じことを言うから、うまくいかないのです。逆の発想を試してみましょう。大事なのは、こちらが同じことを言わないことです。ダメな方法は、何度やってもやはりダメなのです。

例えば、子どもの言動に対し否定的アプローチが主だったとします。となると、子どももほとんど聞き入れません。そこで、肯定的アプローチに切り替えて、切り返します。

子どもの朝の着替えの場面を想定しましょう。

まず、ダメな例です。

幼稚園のバスが迎えに来る時間が決まっているのに、着替えようとしないわが娘。しかも、手伝おうとすると「自分でできる」と譲らないで、ボタンをゆっくり留めています(本人にとっては、本気&フルスピード)。しかも、終わったと思ったら掛け違えていて、1からやり直し……。

ここで、堪忍袋の緒がブチ切れる親はかなり多いです。

「いいかげんにしなさい!」

他にも「早くして!」「前にも言ったでしょ!」「だから言ったじゃない!」……どれもアウトです。言ってはいけない否定的な言葉のオンパレードです。でも、親はたいてい「自分は正しくて、子どもが悪い」と思っている。これでは明日以降も、必ず同じ光景が繰り返されることでしょう。

ここを、肯定的アプローチに切り替えます。

ボタンを掛け違えるところまでは、先と同じ状況です。この後、どう切り返すかで、明日からの動きが変わってくるかもしれません。(あくまで、「明日から」「かもしれない」です。今すぐ確実を求めてはいけません。)

先の状況に対し、

「ボタン、早くなったね」「上手になったね」

と切り返す。ただこれだけです。これこそが私流の賢い切り返しです。この言葉を伝えた後は、さっさと親がボタンを留め直してあげても構いません。

この言葉に、根拠はいりません。真実もいりません。ただ、いつも見てくれている親がそう捉えたというのが子どもにとっての「事実」です。

正確には「早くなっている気がしないでもない」あるいは「頼むから早くなって欲しい」なのですが、「早くなったね」という断定的な言い方が、最も目的に近付くことになります。

しかも、現在進行形の言い方なので、あながち嘘でもありません。親が口に出した瞬間から、方向的に見たらたぶん良くなっています。心理学でいう「ピグマリオン効果」が働きます。

子どもではなくても人は人から「良くなっている」と言われると、その期待にもっと添いたくなるものです。褒めるポイントは、あれこれ直したい中の、ひとつに絞ります。たくさん直させたいところがあっても、1点に絞ることが大切です。決して欲張ってはいけません。