社員の半数以上がカスタマーサポート

【田原】いま規模はどのくらいですか。

【山田】公表しているのは累計ダウンロード数で、2900万を突破しました。ただ、対外的に必要だから公開しているだけで、重視はしていません。日々、ユーザー数やトランザクション(取引)がどれくらいかという動きを大事にしています。

【田原】山田さんは、メルカリはシェアリングエコノミーの大きなトレンドの中にあるとおっしゃっています。シェアリングエコノミーと言うと自家用車をシェアするUberや民泊のAirbnbが思い浮かびますが、フリマも同じなんですか。

【山田】フリマは売買なので、同時に1つの物をシェアするわけではありません。ただ、売買といっても、ユーザーに商売っ気はない。それよりも、たとえば着られなくなった子供服を、大切に使ってくれる人に引き継いでほしいという思いで出品している人が多いんです。結果としてお金が手に入りますが、そのお金は出品されている物を買うのに使われていく。このように物がメルカリの中でぐるぐる回っている状態は、まさにシェアリングエコノミーと言っていいかと思います。

【田原】いま競合はあるんですか。

【山田】僕らがうまくいったのを見て、LINEや楽天、ZOZOTOWNも、参入してきました。ただ、ほかのフリマアプリは意識していないです。僕らは2位以下の企業に比べて10倍以上なので。

【田原】どうしてライバルとなる会社が出てこないんだろう。

【山田】僕たちが重視しているものの一つに、カスタマーサポートがあります。カスタマーサポートの質は、ブランドイメージを左右します。「メルカリはサポートがいいよね」と思ってもらえたら、その後も使ってもらえる。社員は200人を超えましたが、半数以上がカスタマーサポート。そうした体制がユーザーの支持につながっているのかもしれません。

【田原】いいカスタマーサポートって、どういうものですか。

【山田】理想としているのは、靴や衣料品のECで成長した米Zapposです。アマゾンや楽天だと、問い合わせ先を見つけるのが大変で、ほとんどの人は仕方なく商品写真を見て自分で判断します。それに対してZapposは電話番号がわかりやすいところに書いてあって、問い合わせると丁寧に回答してくれる。だからユーザーの満足度がとても高い。