「体直く」を立つ姿勢で見てみよう。礼法では両足を平行にそろえて踏む。すると、重心が前寄りになり、わずかに内腿に力が入る。
「立つときに、つま先を左右に開くのが今は一般的ですが、それだと重心が踵にかかり、膝も外側に開きます。現代の日本人にO脚が多い原因です」
歩くときも、足を平行にそろえて踏み出す。つま先を開いて歩くと、腰や肩が揺すられ、動きに無駄が出る。美しくもない。
また、立つ姿勢では、背筋を自然に伸ばすのは当然だが「耳が肩に垂れる」のがよいとされる。頭を立て、胸を開くと耳の位置が肩の上にくる。それが正しい姿勢だ。
「よく接客の指導などでは、手を前で組ませますね。あれは胸がすぼまるので、よくない姿勢です。胸を開けば、腕は前で組めないのが、人間の体では自然ですから」
・背筋を伸ばし、自然な脊柱(せきちゅう)に沿わせる。重心は土踏まずの前に置く。足は平行に踏むように。手は肩から自然と下に伸ばすように、心持ち手のひらを窪ませるようにして、小指に意識を持たせる。呼吸は肚(はら)に落とすように。
・耳が鎖骨ではなく、肩に垂れるように、顎が浮かぬよう、襟のすかないように。
・力学的に安定。筋肉にかかる負担が少ない。内臓の諸器官を圧迫しない。脊柱に正しく沿っている。腰の上に無理なく胴体を据え、その上に頭を据える。
・立った姿勢同様、脊柱に沿って上体を伸ばし、正しく頭を据える。目線は4mくらい先を見るようにする。
・手は自然と腿(たい)の上に載せ、手のひらが開かぬようにする。重心は腿の中央に置く。足は親指だけを重ね、踵を両外に開く。
・膝は、男性は握りこぶし一つ分開く。女性は付けるように。静かな呼吸を心がける。