美しく隙のない所作は、実は心身の鍛錬とセットである。850年間、小笠原流礼法が伝えてきたノウハウは、まさに日々身と心を鍛える武士の「高度な体幹トレ」だ。

姿勢を保つのに必要な筋力の鍛錬

取材クルーが訪れたのは、東京・世田谷区にある小笠原流礼法の教場。弓道場を見下ろす2階の広大な畳の間で、まず同行した編集者の立ち姿を見てもらった。

三十一世宗家・小笠原清忠氏がいくつか指示を与えると、たちまち印象が一変。どことなく頼りなさげだった立ち姿に、凛とした緊張感が備わったのだ。

「一時的に姿勢を正すことは、誰にでもできます。しかし、それを『常に保つ』ことが、現代人にはとても難しいんです」