「106万円の壁」にひっかかるパート多数!
さらに忘れてはならないのは、今秋以降に出現する、第5の「106万円の壁」だ。
2014年8月、短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大が決定し、2016年10月から、一定の条件(従業員501人以上の企業で働く人が対象、1週間の所定労働時間が20時間以上など)を満たす場合、パートで働く労働者も厚生年金や健康保険への加入が義務付けられる。
この条件の中に、月額賃金8.8万円以上があり、これが年収ベースで106万円となるため、これが新たな壁というわけである。
このこともあって、パートの主婦の皆さんは時給アップに難色を示すのだ。本来喜ぶべき時給アップは、むしろ働き方に注意しなければならなくなる「悩みの種」なのだ。勤務先の戦力となりたいのに、あまり長い時間働くと、自分が損してしまう。そのジレンマに陥ることになる。
そして昨年12月中旬、厚生労働省では、企業の配偶者手当に関する有識者検討会の初会合が開かれた。配偶者手当が女性の就労の妨げの一因となっているとして、見直しを企業に促す狙いだという。今年3月を目途に報告書がまとめられる予定だ。
配偶者控除に関しても、昨年12月16日に公表された2016年度税制改正大綱では見直しは先送りされたものの、引き続き議論の俎上には載せられるだろう。
遅かれ早かれ、これからもパート主婦の優遇措置は廃止もしくは縮小傾向にあることは変わらない。じわり、じわりと外堀から埋められつつ「収入の壁なんか気にせず、とにかく社会に出てがんばって働け」ムードが高まることは必須といえる。