年金減少
夫婦でトクする「妻の受給額アップ」のコツ

もしもあなたの妻が年下なら

老後資金の柱となる公的年金。物価上昇に伴い支給額が増える機能があるが、現役世代の保険料負担を抑える目的もあり、経済情勢に応じて給付水準を抑制する「マクロ経済スライド」が導入された。これにより、物価上昇率と同様には増えないことになった。消費税増税で物価は上昇、年金は増えない、という状態になった場合には、実質的な目減りが続くことになる。

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夫婦ともに会社員の場合、どちらも厚生年金に加入しており、年金は加入年数(保険料を支払っている年数)と平均年収によって年金額が決まる。年金を増やすには受給開始時期を遅らせる繰り下げ支給(1年遅らせるごとに、以後の年金が8%増額)という手がある程度だろう。

対して年金を増やす余地が大きいのは、専業主婦やパート勤めの妻である。専業主婦などは会社員の妻(第3号被保険者)として保険料の負担なく65歳から国民年金が支給される。これに厚生年金を加えれば、年金額は増える。

パートの場合、100万円を超えると住民税、103万円超で所得税がかかる。さらに130万円(社員数501人以上の大手企業では106万円)超では健康保険料、年金についても厚生年金被保険者(第2号被保険者)となり、年金保険料を支払うことになる。

税や社会保険料がかかることで手取りが減るため、税や社会保険料がかからない範囲で働くケースが多い。しかし健康保険に加入すれば、病気やケガで働けなくなった際に一定期間、給与の一部が支給されるなど保障も充実している。

年金がいくら増えるかは、「厚生年金に加入した年数×5500円×年収(百万円の位)」で計算できる。10年間、平均年収200万円なら、年額で11万円。これが終身で続き、65歳から100歳まででは385万円になる。

目先の手取りが減ったとしても、将来への仕送りになるわけだ。

ただし年下のパート妻、という場合は、加入期間によって「加給年金」が受け取れなくなることに注意したい。加給年金とは、いわば年金の家族手当のようなもの。支給されるのは、妻が年下で、夫が65歳の年金受給開始時期に妻の厚生年金の加入期間が20年未満の場合、である。特別加算を合わせて、金額は年額39万100円と、かなり大きい。

支給されるのは夫が65歳になってから妻が65歳になるまでなので、年齢差が大きいほど長い期間、加給年金が受け取れる。