脱デフレ時代の注意
教育資金を上乗せできる賢い方法
個人向け国債には、現金プレゼントも
日本銀行は年に4回、「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」を出しますが、2019年1月のレポートでは、2019年度の消費者物価上昇率の見通しは1.1%。ちなみに、20年度は1.5%を見込んでおり、デフレは脱したものの、物価押し上げの力は弱く、その意味では緩やかなインフレといえるのではないでしょうか。
19年10月1日から消費税率が10%へ引き上げられます。すると、物価は2%近く上がると考えがちですが、政府は、食品と新聞には8%のまま据え置き、キャッシュレス決済にはポイント還元といった手厚い対策も打ちました。おそらく、前回ほど家計への影響はないと考えていいでしょう。今後、消費者物価がどんどん上昇するかといえば、そこまでの状況ではありません。
一方、定期預金の平均金利は1980年代以降、おおむね物価上昇率を上回ってきました。しかし、日銀が物価上昇率2%を目指した13年以降は物価上昇率を下回っています。物価の2%上昇が実現したとき、預金金利も上がればいいのですが、日本は公的債務が巨額なだけに金利を低く抑える政策は続く可能性は高いと見ておくべきでしょう。
メガバンクやゆうちょ銀行など、多くの金融機関は、定期預金の店頭表示金利を年0.01%としています。それでも日本人の資産は預貯金中心で、元本保証・確定利回り型の商品で運用している割合が多い。こうした超低金利で、わずかずつとはいえ物価が上がっている昨今、預貯金の価値は目減りしていると理解すべきです。
デフレのときには、現金や預金が圧倒的に強く、投資には向いていません。しかし今、インフレに備えて資産価値の保全、上乗せを考えるなら、リスク商品での運用を考えざるをえません。一般的に株式と不動産、金などの商品がインフレに強いとされています。
その際、特定の金融資産に集中投資するのは好ましくありません。まとまった金額を一気に投資するのではなく、景気や物価動向を見極めつつ段階的に投資額を決めるべきでしょう。また、リスク資産だけでなく国債や預金といった安全資産を組み合わせることも考慮する必要があります。
特に支出が確実な資金は安全性重視が大切です。なかでも教育費やマイホーム購入など数年以内に支出予定のあるお金は、金利が低くても円建てで元本の安全性が高い金融商品で運用するのが基本です。値下がりリスクもある株式投信などに回すと、必要なお金を用立てるために損失覚悟で売却しなければならない可能性があります。