「数字の想像力」を磨くには

数字に対する想像力を磨くには、日々の仕事を数字で締めくくることと多くの人と会うことが大切です。営業社員であれば、その日に何件訪問して、何件成約がとれ、どれくらいの確度で目標を達成できるのか。結果の理由を考え、1日を必ず数字で締めくくる。そして次の日の行動に反映する。これを日々繰り返し、行動を数字に置き換えて自分の中に蓄積するのです。

また、多くの人と接することで、それまで自分になかった発想や考え方を吸収することができます。1人で部屋にいては妄想しかできません。

2014年12月、イギリスのテレマティクス保険に強みを持つ会社を買収することを発表しました。テレマティクス保険は情報端末を使って車の運転状態をリアルタイムに捉え、保険料に反映する自動車保険です。

今回の買収では、自動車事故を減らし、保険加入者を増やしたいという創業者の理念に共感したのはもちろんですが、新しい保険を研究するためのノウハウが欲しかったのも事実です。複雑な人間の挙動データをどの視点で収集し、処理するか。新しい想像力を手に入れるための買収だったわけです。

日々の生活の中で、多くの人に会い、行動を数字で捉え、次の行動に生かす。なぜこの数字になるのか、その背後にあるストーリーを考えるクセをつけることで想像力は広がり、自ずとよい結果に繋がっていきます。

▼鈴木流「数字思考」3つのポイント
1.最悪を想定し数字をつくる
2.1日の行動を数字で締めくくる
3.多くの人に会い新しい発想を学ぶ

あいおいニッセイ同和損害保険 社長 鈴木久仁
1950年、神奈川県生まれ。73年早稲田大学商学部卒業、大東京火災海上保険(現あいおいニッセイ同和損害保険)入社。2000年執行役員、04年専務、10年4月より現職。14年6月よりMS&ADインシュアランスグループホールディングス会長を兼務。
(佐藤智洋(プレジデント編集部)=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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