自由にものが言える会社に戻したい

――今後はロッテをどう変えていこうと考えているのですか。

昔のロッテのような状況を取り戻していかなければならないと思います。昔は新しい商品や今までになかったようなカテゴリーの商品をつくりましたし、設備投資もしっかりやってきた。消費者からも信頼されてきた。私が米国から日本に戻ってきたころは、ロングセラーのブランド商品のガーナチョコレートがお店から消えそうで、ライバルメーカーの半分以下になっていた。それをなんとか努力し、ライバルメーカーを抜いて逆転したわけです。商品開発というのは通常は半年から1年、長いものでは数年かかる。だから今はまだこれまで積み上げてきたものがあるので、目にみえて業績が悪化するようなことにはなっていませんが、いずれこのような状況が続けば、いろいろな問題が出てくると思います。そうなる前にきちんと手を打たなければならないと思っています。私たちは甘いものは強いんですが、そうでない分野は弱い。あるいは健康分野なども今後の課題だと思います。そうした新規の分野にも力を入れていかなければならないと思っています。

――最近同族企業の経営が批判的な扱いを受けますが、同族企業には同族企業としての良さがあるのではないでしょうか。

長期的な視点にたった研究開発などを進めていきやすいというのは同族企業の良さだと思います。うちも新カテゴリー商品を開発するために5年ぐらいかけてやっていますし、設備投資についてもチョコレートなどは1ライン10数億円かけてやっています。必ずしもヒットするわけではないのですが、同族経営はこうした大きな決断をすることができるところにその良さがあると思います。世界的にみると、お菓子業界の再編は急ピッチで進んでいますから、出遅れてしまうと、取り残されてしまう恐れがあります。積極的に世界に出ていかないと、ロッテは日本と韓国だけのローカルメーカーになってしまいます。それを長い目でみて決断していかなければならないのですが、そういう面でも心配があります。

――現経営陣はコーポレートガバナンスを問題にしているようですが、その点については。

経営陣が虚偽で経営権を握ろうとしたり、力で押さえつけるような経営は企業にとって好ましくないのは当然です。そうした問題が起こらないような企業体質にしていくいことが今後の重要な課題だと思っています。自由にものの言える会社に戻したい。

――韓国ロッテに対しては今後はどう対応しますか。

私が経営をやることになれば、韓国ロッテについても対応していかなければならないと思っています。ただ韓国ロッテは多岐の分野にまたがり、企業数も80あり、こちらを入れると100ぐらいになりますから、経営の専門家やアドバイザーなどにお願いするような形になるのだと思います。

――今後の株主総会については。

弟の持ち株はそれほど多くはありません。ロッテHD株式の1.4%しかありません。逆に、従業員持ち株会、役員持ち株会、関係会社が保有する株式などを合わせると、佃さんや小林さんの影響下にある株は議決権のある株式の53.3%になります。過半数を影響下に置いているという状況です。しかし直接経営陣が株主権を行使できる役員持ち株会が所有しているロッテHD株式の6%程度に過ぎず、私どもの光潤社が保有しているロッテHDの株は28.14%あります。最終的には従業員持ち株会の約27%の株式が大きなカギを握ることになると思います。

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