なぜせっかくの休日にもバイトを入れるのか
一方、研究職の道に進んだ医師は、年収400万円から先がなかなか増えない。そのせいもあり、研究者不足という問題も生じている。
また、大学病院勤務でも、臨床医は関連病院に派遣されることが多い。その場合、報酬は派遣先の給料として支払われる。地方部で人手不足の病院なら、バイトなしでも年収1000万~1500万円にすぐなる。ただし、派遣は医局が決めるもので、医師はいつどこに飛ばされるかわからない。
研修後、民間病院に就職した場合の年収も派遣パターンと同じだ。週に4日半の常勤で1500万円にはいずれなる。外でのバイトを入れ、プラス300万円ぐらい稼ぐ医師も多い。
ここでやや疑問なのは、ただでも多忙で過労気味な顔をしている病院勤務医が、どうしてせっかくの休日にバイトを入れるかだ。特に民間病院ならそこの給料だけでも十分な収入があるのに、休みを潰してなぜ働くのか。
「そこが一つの問題点で、医師5年目あたりでポーンと年収が上がって、男性の場合は結婚することが多いんです。それで子供ができると、東京だったら『目黒か世田谷に住むか』と高級住宅地のマンションや戸建てをローンで買ってしまう。子供が育ち、次はお受験と出費がかさむ。その頃に一般的な給料上限の1500万円にまで上がっていても、『あれ、生活がきついな』となる。で、疲れていても、バイトでさらに頑張っちゃうわけです」(同)
わかりやすい典型例を挙げてもらうと、そんな勤務医像が浮かんできた。仕事では責任感は強くて真面目、でも、お金の使い方が何らかアンバランスで結果的にリッチではない。高給取りという意味では勝ち組なのに、心の余裕の面では負け組の医師が目立つという。