では、副業に成功する人と失敗する人の差はどこからくるのか。今や手軽にできる副業といえば、インターネットを利用したビジネスだろう。建設会社勤務のサスケさん(ハンドルネーム・31歳)は、ネットオークションやアフィリエイトなどで月50万円の収入を得ている。きっかけは「1万円で買った福袋が気に入らず、ネットのオークションに出したら1万7000円で売れた」ことだ。

「建設業は超不況業種で、会社がずっとあるとも限らない。それでネットで生活費を補填できたら……と思いました」

始めた当初は、それほど稼げたわけではないが、どうしたら稼げるのかと考えた。その秘訣は「儲けている人のブログを片っ端から読んで勉強した」という。

品物の包装をキチンとするとか、注文を受けたらできるだけ早く出荷するなど、基本的なことをバカにしないのがコツ。

「オークションでは、高い評価を得ていくと、信頼度も高まる。信頼度が高まれば高まるほど、僕から買いたいと思う人も増える。アフィリエイトでも同じです。2年前に始めた頃は、帰宅後ずっとパソコンに向かっていましたが、コツを掴んだ今は、1日2~3時間程度です」

香村篤史さん●趣味と実益が結びついた副業で、人脈の形成と副収入といういい循環を生んだ例。コツコツと毎日努力し続けた結果の産物ともいえる。

一般企業に勤務する香村篤史さん(38歳)は、趣味が副業につながった例だ。新興国株への投資と、自身が運営する投資ブログ「イスラム株の世界」を基にした新興国株投資セミナーの講師など。そもそも副業を始めたきっかけは「英語を勉強したいと思った」ことだ。

「インターネット上の情報は英語が中心で、より多くの情報に触れるには英語力が必要だった。ダラダラ勉強しても身につかない。それで、なけなしのお金を外国企業に投資すれば、情報収集のために否が応でも勉強するだろうと考えた」

自身が集めた投資情報を、あるブログで紹介したところたちまち人気を集め、メディアでも注目される存在となった。

「長期投資が前提なので売却益はありませんが、配当収入は得ています。そのほか、セミナーの講師や取材謝礼などで稼いでいます」

また、思わぬ展開もあった。イランやイラクの投資情報や、スーダン最大のコングロマリットであるダルグループのリアルな情報を得るべく、米国のコミュニティサイトに「イスラムの文化、経済、スーダンのダルグループに興味を持っている」と書き込みをした。すると、スーダンの首都に日本料理店を開く計画をしていたダルグループ会長や、イラン、イラクの銀行マンなどと知り合いになることができたのだ。

「以前は投資でお金を得ることが目的でしたが、今は勉強や人脈を広げることが楽しい。副業は自分の世界を広げるための自己投資という感じです」

※すべて雑誌掲載当時

(向井 渉=撮影(パソコン)、的野弘路・熊谷武二・山口典利=撮影(人物))