【3】昼・夜の会食を上手に使います

富裕層が昼の会食に選ぶのは会員制のレストラン。サービスが行き届き、スタッフとも顔見知りなので気張らないのがいいようです。細かいことに気がつきやすい方たちなので、どんな扱いを受けるかわからない店には行きません。

けっして豪華メニューではありません。ランチでイタリアンなら前菜、パスタ、コーヒーといった軽めのコースです。メーンの肉や魚まで食べる人はあまりいません。1時間くらいで切り上げます。

夜の会食もやはり10年、20年と通っているところです。ミシュラン三ツ星のような店はあえて行きません。どんなに人気の寿司屋でも、隣に若い女性を連れてシャンパンを開けるような無粋な客がいたら台なしだからです。

ワインがお好きな方が多く、万人に美味しさが伝わりやすいカリフォルニアワインを選びます。3万~5万円くらいのボトルが多く、「インシグニア」や「オーパスワン」といった高級銘柄です。フレンチや懐石のコースで2時間くらい過ごし、その後はサッと帰るのが定例ですが、まれに馴染みのクラブに飲みにいくこともあります。

【4】10年スパンで人を育てることを考えます

お金持ちの方たちは、10年先を見て人材育成を行います。

ある経営者は、見込みのある若い社員を大学院に行かせ、その間に2年間、アメリカに留学させました。留学から帰ってきて大学院を修了したら、今度はアメリカの会社で2年間くらい働かせて経験を積ませます。

留学費用などがかなりかさむ計算ですが、すべて会社持ちです。10年後の会社をつくるのは人だと考えているので思い切った投資をするのです。その方も「10年後から頑張って働いて、かけたお金を返してもらえばいいから」と語っていました。

それだけコストをかけた人材です。ふつうなら、すぐ幹部に登用したくもなるでしょうが、とくにオーナー企業の経営者はそうしません。経営層の中心に置くのは古株の社員であることが多いのです。サラリーマン社長が見せるような、何人抜きで取締役に抜擢するということはあまり見たことがありません。

いくら有能な若手といっても、序列を無視して昇進させれば社内に軋轢が生じるので、あくまでも慎重な姿勢を保つのです。