【A】「私にとって農作業は趣味でもあり生業でもある『野良仕事』です。大変ですが作業自体が辛いということはありません」と話す馬場さんは、“コンクリート砂漠”で生まれ育った都会っ娘こ。2地域居住を始めるまで、農業はおろか家庭菜園の経験もない素人だった。
だが、ジャガイモから始めて、今では毎年、ほうれん草、小松菜、大根、カブ、タマネギ、ニンジン、小松菜など、いろいろな野菜を作るようになっている。
週末農作業だけで作れる野菜を選ぶのがポイントで、成長が早い夏野菜や田植え後は厳密な水管理が欠かせない“田んぼ”は手がけていない。そこを他人任せにしてまで、田んぼをやる意味はないと考えているからだ。
「私もそうでしたが、最初はご近所の農家の方に教えてもらいながら始めるのがいいですね。でも、最初から『教えてくれ』と言うのはずうずうしい。ご近所のお手伝いから始めて、見よう見まねでやっていると、そのうち『そんなんじゃダメだ』と教えにきてくれるようになります。あとはNHK『趣味の園芸』ですね(笑)」
だが、せっかく手塩にかけて育てた野菜を、山に住むサルやイノシシに食べられてしまうことも多いという。「先日もすごく甘いタマネギができたのですが、甘いのが災いして全部イノシシに食べられていました」と苦笑する馬場さんだが、「『誰かが食べているんだからいいか』と考えるようにしています(笑)。そこが市民農園との大きな違いかもしれません。野菜作りを楽しむだけでなく、生き物と共存する環境そのものを受け入れていきます。動物にしてみたら、私たちのほうが縄張りにたまにやってくる“お客さん”なわけですからね」