『里山資本主義』(角川書店)の大ヒットでますます注目される「里山暮らし」。お金では買えない「豊かさ」のありかを、南房総の里山で暮らす実践者の生活に教えてもらった。

※第1回はこちら(http://president.jp/articles/-/15670)

【Q】家・土地編:住む場所はどうやって見つけるの?

【A】雑誌やインターネットなど「田舎暮らし」情報は世の中にあふれている。政府も来年度から移住に役立つ情報を集めたデータベースの作成や移住コーディネーターの設置を進める方針だというから、これまで以上に物件を探しやすくなることだろう。だが馬場さんが土地探しを始めた10年前は、それほど情報が豊かではなかった。

麓から見上げると森にしか見えない馬場さん宅。裏山まで含めた8700坪が馬場家の土地である。

「最初はインターネットで探し始めましたが、なかなか条件に合う物件がヒットしませんでした。今考えると条件設定が間違っていたんですね。それでも、いろいろ試しているうちに、なんとなく勘所がわかってきます」

そのうちポツポツとよさそうな物件が見つかり出す。そこからは週末のたびに現地見学に出かけることになる。

「現地見学は必須です。写真は一番いい状態を見せているし、現地に行ったら全然条件に合っていない土地だったということも何度もありました。不動産会社は“本気の人”のためにネットには出さない物件も持っているので、土地探しに出かけて不動産会社との信頼関係を築いていくことも大切です。物を買うというより、人付き合いの中から引き出した感じです」

こうして探し当てたのが現在の南房総の土地。広さは裏山を含めて8700坪。土地探しを始めて3年が経っていた。

「土地探しで妥協していたら、『2地域居住』は続かなかったかもしれません。本当に気に入った土地が見つかるまで粘ったのが正解でしたね。自分の趣味と結びつけて土地を探したり、最近増えている賃貸の『トライアル物件』から始めてもいいと思います」