ことほど左様に、時間は時計で測れる単純な概念だけではない。その厄介な時間をあなたはどのように使っているか把握しているだろうか。たぶん、ほとんどの人が意識していない。
家計の管理をするために家計簿があるように時間家計簿をつけてみるのはどうだろう。吉田院長は、すでにクライアントに時間家計簿をつける指導をしている。
「家計簿と同じように何かを管理しようと思ったら、現状を把握しなければ欠点はわかりません。3カ月か半年に1回、平均的な1日を記録してみる。時間の使い方の欠点、改善点を見つけ出すためなので1回でいい。それ以上やることこそ時間の無駄」
「スケジュールを立てるときは、計画通りにいくことは少ない。リスケをするだけでなく、実際、時間をどう使ったか、記録してみるのは面白い。特に子どもには効果的かも。自分の何らかの仕事に対する進行速度みたいなものがつかめるようになる。ただし、そのときのやる気とか気分によって、仕事量には大きな差が出てくるから、その辺も記録するといいかもしれません」(篠原教授)
段取りのいい人か悪い人かの見分け方はあるのだろうか。段取りが仕事のすべてという議員秘書の経験を持つ吉田院長は、段取り力は作文に表れるという。
「面接の場で作文を書かせてみれば一目瞭然。400文字以上の文章は、全体を俯瞰してイメージを持たないと書けません。極端な話、書かれた内容はどうでもいいのです。全体の構成ができているかどうかを見れば、段取りの能力がわかります。段取り力を伸ばす訓練は仕事のフローチャートを作ること。段取りが苦手な人は、順番と内容をごちゃ混ぜにしている。まずは順番を考え、一個一個の中身は後で考えるクセをつけましょう」(吉田院長)
1960年、長野県生まれ。東京大学卒業後、東京理科大学諏訪短期大学助教授を経て、現職。脳計測器多チャンネルNIRSを使って、脳活動を調べている。『一生クビにならない脳』ほか著書多数。
1964年生まれ。東京大学大学院で生命工学を研究しながら国家公務員I種経済職試験に合格。NHKアナウンサー、代議士秘書を経て、医師免許取得。日本初の受験生専門心療内科クリニックを開設。