値上げというのは本来であればマイナスの要素ですが、他社との差別化を行い、より多くの顧客を獲得する機会に転化させるのです。合気道という日本の武道がありますね。自分の腕力で相手を押さえつけるのではなく、相手の力を自分に取り込み、爆発的な力を生み出し、鮮やかに敵を倒します。その哲学はビジネスにも応用できます。逆境であっても、自分のブランドをアピールし、他社との違いを訴えかける機会とすることができるのです。
非常に重要なのは、市場の信頼を獲得できているかということです。あなたの企業に対して信頼・尊敬を寄せていて、今までの関係性も重要視してくれる優良顧客、それが「卓越」した顧客です。伸びる企業には必ず卓越した顧客が存在しています。卓越したお客様であれば、あなたの会社が値上げをしたとして、その理由に納得し、優良な関係を築けるはずです。
では、いかにして顧客の信頼を勝ち取るのか。まずは建前ではなく、心からお客様を愛することができているか、それが大前提になります。小手先のテクニックで一時的にお客様を増やすことができたとしても、それだけではすぐにお客様は離れてしまいます。競合よりもずば抜けて高いレベルでお客様に感謝の気持ちを持つこと、彼らが何を必要としているかを理解することが非常に重要なのです。
1949年生まれ。米国のトップマーケティングコンサルタントで、世界中の経営者から業績向上のアドバイザーとして、絶大なる人気を誇る。IBM、シティバンク、マイクロソフトなど1万2000以上ものクライアントに対し、70億ドル(約7000億円)もの売り上げ向上をもたらしたと言われる。1回のセミナー受講料は100万円を超えることも。著書に『ハイパワー・マーケティング』などがある。