手帳には日々の所感以外にも、読んだ本の感想や気に入った言葉を抜き出して書き込んでいる。11年はこれまでに50冊読んだと、手帳を見ればすぐわかる。


秘書が整理した予定を鉛筆で自らの手帳に転記。細かい字でびっしりと書き込む。終えた案件は必ず振り返り、所感を記入する。

ゴルフのスコアやその日に歩いた歩数も記録している。歩数記録は健康管理のような意味もあり、1週間に1回レビューを行って、毎日1万歩以上歩いていれば二重丸をつける。社長になる前はいまよりは時間があったので15週連続で二重丸だったりするが、現在は移動が社用車なので×印ばかりである。このレビューを見ていると、せめて週末は1万5000歩くらい歩こうと考える。

10年までは腕立て伏せとスクワットの回数も記録していたが、少々やりすぎたため現在は休養中である。また、その日の天気と最高気温、最低気温についても記録をつけている。

手帳はアイデアの記録にも使っている。私は仕事や依頼された文章の構想は一度少し考えたあと、しばらく寝かせることにしている。すると車で移動しているときや風呂に入っているときなど、ふとした瞬間にアイデアが浮かんでくる。それを付せん紙にメモし、手帳に張り込んでいくのである。

使っている手帳は三菱マテリアルが配布しているもので、これが一番使いやすい。もう15年くらい愛用していて、使っていない三菱マテリアルの社員の方がいると逆にお勧めしたりしている。

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松沢社長のある1日

私がこのような手帳の使い方をするようになったのは20年ほど前からである。振り返りや所感を書き込むのは、自分の行動を改めて確認するためだ。

今日1日で何をやったのか、この会議では何を決めたのか、あの面談ではどのような話が出たのか――。そうやって今日を確認し反省すると、明日からの24時間の使い方に必ず反映される。

やりっ放しでは進歩がない。PDCAのサイクルを回すことが必要だ。鉛筆で書き込む予定がPlanであり、いまやっていることがDo。そして手帳にCheckを書き込み、さらなるActにつなげていくわけである。

手帳に振り返りを書くのは、もちろん記録という意味もある。予定とは違いボールペンで書いているのは、後で改ざんできないようにするためである。

時間の使い方に話を戻すと、会社のなかでムダが多いのはやはり会議である。社員との対話で「会社のなかで何がムダだと思いますか」と質問しても「会議」という答えが多く返ってくる。