話題を決めたとしても、書くためには、ちょっとしたことでも調べ物をしなければならない。一つの話題だけでは足りずに周辺の情報をインターネットで調べることもある。そうやって「つぶやき」を書くために毎日1時間くらいの時間を使う。取材の合間、ミーティングとディナーの合間の10分といったコマ切れの時間も使う。ときには時間がない強烈なプレッシャーの中で一気に書き上げることもある。
大事なことは、自分で情報収集・処理して、それを文章にする、言語化するということだ。それは必要な情報を引っ張ってきて、自分の思考をアウトプットする訓練になるからだ。そのために生活リズムも整え、集中できるリズムを生み出していく。
そもそもホモ・サピエンスの最大の特徴は言語である。文章をきちんと人にわかるように構成し、それを表現する訓練は、仕事をしていくうえでも欠かせないものだ。つまり、アウトプットするということは、コミュニケーションすること、情報を取ることと同じかそれ以上に等しくビジネスマンにとって重要な能力なのである。
当社では若手社員に毎朝、ニューヨークなど株式市場の動きについてレポートを書かせており、私は、それが人に伝わる内容になっているのかをチェックしている。人にわからせようと思うことで、データや情報をいかに取り扱えばいいのかを知る訓練になるからだ。人にわからせようと思うと情報を活かさなければならない。漠然と情報を見ているよりも、情報を効率的に吸収できる。情報、知識というものは、使ってこそのものだ。アウトプットすることと併せて情報は収集・整理すべきなのである。
1963年、埼玉県生まれ。開成高校卒、東京大学法学部卒業。87年、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券に入社。90年、ゴールドマン・サックスに転職。99年に退職し、マネックス証券を設立。設立からわずか1年4カ月で東証マザーズに上場。