弱小チームを6度の日本一へ
波乱万丈だった。1974年、関東学院大学ラグビー部の監督に就任。「ラグビーボールもゴールポストもない」弱小チームをコツコツと鍛え、大学日本一6度の強豪に育て上げた。こうも、言った。
「ラグビーはゲームです。遊びです。競技です。技を競うんです。でも戦いじゃない。仲間作りなんです。それは相手をリスペクトし、認めることなんです。相手を認めない限り、絶対に自分を認めてもらえません。自分を認めてもらうためには、努力をする以外にないんです」
学生時代から約35年間も春口さんと接してきた桜井さんは説明する。「ラグビーについては、基本を大事にする先生だった」と。
とにかく基本練習にうるさかった。基礎体力を養い、一本のパスやキャッチ、ラン、キック、タックルを確実に実践させる。当たり前のことを100%できれば、勝負には勝てるのだという信念があったそうだ。
なるほど、関東学院大OBの日本代表選手をみれば、ベースには基本プレーの確かさがある。さらに桜井さんは「ラグビー以外では人との出会いを大事にしろ、と教えられた」と言った。「“人との巡り合いは奇跡的なことだ。人との付き合いを大事にしなさい”と」
どだい選手にとっていい指導者とはどういう人を言うのだろう。まずは上のステージ、舞台に立たせてくれる人がいい指導者といっていい。そこで成長させてくれる人。選手は舞台に立ってナンボだと思う。