ベリサイン社のソフトウエア技術者、ドリュー・チャットにとって同僚との協力は絶対不可欠だった。コードは一人で書いていたが、必ず誰かが見直し、同僚のコードと合わせて完成品がつくられるのである。

同僚の一人、エディーはドリューと同じくらい優秀な技術者だったが、入社して日が浅く、この会社のやり方に慣れていなかった。彼は自分で勝手に判断して迅速に仕事を仕上げていたが、コードを見直す際、ドリューはしょっちゅうミスを見つけ、そのたびに直しを求めなければならなかった。

同じようなミスの連続についにうんざりしたドリューは、エディーに、コードを書き始める前に、仕事に何が要求されているか理解する手助けをしたいと申し出た。おかげで、エディーはベリサインの仕事のやり方について質問する機会を持てた。

「放っておいたら、どこがわからないのかといった質問すらできると思えなかったんだ」とドリューは語る。そして、エディーはドリューの提案を素直に受け入れた。着手前のやりとりに時間をとられはしたが、おかげでドリューは見直し時間を節約できたし、エディーと強い協力関係を築くこともできた。

アランと同僚との関係が壊れた理由

前述のアラン・コーエンはバブソン大学の学部長でもある。彼は以前勤めていた大学で、よき友人であり、学部の副学部長でもあったカールという人物と仕事をしたことがある。コーエンが提案していた新しいプログラムに、カールの承認を得る必要があったのだ。カールは会計学が専門だったが、その新プログラムにコストを割り振るにあたり計算ミスを連発した。

コーエンはカールを心配して、彼の上司に話をしにいった。が、途中でドアがノックされ、カールが入ってきた。彼の部屋は学部長室のすぐ隣で、コンクリートのヒビのせいでやりとりが聞こえたと、彼は説明した。

「われわれはその件には二度と触れなかったが、彼との関係を修復するには優に1年以上かかった」と、コーエンは振り返る。学部長に話す前に本人に話をしなかったことを悔やんで、彼はこう語る。「まず彼に話をしていたら、関係を壊さずにすんだだろうし、彼を助けることさえできていたかもしれない」。

(翻訳=ディプロマット)
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