【田原】雇用制度についてお聞きしたい。マスコミはホワイトカラーエグゼンプションについて、残業代ゼロ法案じゃないかといって反対していますね。これはどうですか。

【宮内】労働者の拘束時間が長い社会は私もよくないと思います。ただ、それとホワイトカラーエグゼンプションはまったく違う話。ホワイトカラーエグゼンプションの背景にあるのは働き方の多様性です。フルタイムで働く人もいれば、パートタイムで働く人、春だけ働く人もいる。それに残業時間の規制に関係なく、集中するときにはドンとやりたいという人もいる。世の中が高度化するにつれて人々の生活は多様化していて、それを受け入れるかどうかという話なのに、マスコミは残業代をカットするためのものだという。議論がまったくかみ合っていません。

【田原】雇用問題でいうと、既得権益を持っているのは誰ですか。

【宮内】正規雇用者でしょう。要は雇用が安定しているサラリーマンと称する人が既得権益になって、そうではない非正規雇用の人がわりを食う形になっている。

【田原】どういうことですか。

【宮内】正規雇用は一度採用されたらクビにならないですよね。いったん22歳で就職したら65歳までのんびりやっていても大丈夫だというバカな世界ができていて、たとえ生産性が下がっても企業は解雇できません。だから非正規で雇用調整せざるをえなくなり、非正規はいつ契約が終わるかとびくびくしながら働かざるをえない。これは不公平です。

【田原】どうすればいいですか。

【宮内】きちんと働かない人の雇用を打ち切れるように、解雇条件をはっきりさせることが必要でしょう。

【田原】それを朝日新聞は「解雇の自由化」といっています。

【宮内】解雇の自由化でなく、解雇を規定する、つまり解雇できないことをやめるということだと思います。