母親たちのライフスタイルを変えたい
現在、モーハウスの製品は、日本助産師会が推奨する唯一の製品として知られる授乳用ブラジャー、縦に穴の開いたインナー、授乳服など授乳必需品をラインナップしている。特に授乳服は、授乳時に肌が見えない、1秒で授乳できるなど、楽に授乳ができるような機能にこだわった作りとなっている。
97年に手作りで発売したときはたった10枚程度だったが、いまや全国の母親から支持され、年間で8万5000点以上も売り上げるようになった。平均的な価格は8000~1万2000円だ。直営店はつくば市と渋谷区青山の2店舗だが、全国の百貨店・ショップ、病院・産院などでも扱っている。売り上げの多くを占めるのがオンラインショップである。
使ってみればその便利さが分かる授乳服だが、当初はなかなか売れなかった。多くの母親は、「授乳期だけがまんすればいい」「遠出をしなければいい」と、そのための出費をしようとしなかった。光畑は、授乳服のメリットをアピールするだけでなく、母親たちのライフスタイルや考え方を変えなければならないと思った。
そのため、子育て中でも子連れでどんどん外出してほしい、がまんせず子育てを楽しもうと情報発信を強化していった。出産や育児をできるだけ楽しくしようと伝えるイベントや講演会などを毎年実施。授乳服を着た授乳の様子を見てもらう「授乳ショー」も定期的に開催。昨年からは産科医や助産師など医療従事者向けにママたちの産後ケアを考えるセミナーも開催している。
こうした地道な活動が実を結び、製品の売り上げが徐々に伸びると共に、モーハウスと光畑は様々な賞を受賞した。2006年には経済産業省「IT経営百選最優秀企業」、09年内閣府主催「女性のチャレンジ賞」、全国商工会議所女性会連合会会長賞である「女性起業家大賞」、10年は「ハイサービス日本300選」「第4回キッズ賞」「グッドデザイン賞」「勇気ある経営大賞」、さらには「Women's International Network Award」(13年)、「がんばる中小企業・小規模事業者300社」選定(14年)と相次ぎ受賞した。