コロナ禍は雇用情勢に大きな影響を与えている。2020年の有効求人倍率は1.18倍で、前年から大幅に悪化している。企業が人を雇うことに及び腰の中、今こそ採用の好機だと経営者たちに指南するのが「経営サポート事業」を展開する武蔵野の小山昇社長だ。なぜ中小企業は採用に力を入れるべきなのか。話を聞いた。

武蔵野 代表取締役社長 小山 昇氏
武蔵野 代表取締役社長 小山 昇氏

中小企業が優良人材を採用するチャンス

今、私が経営する武蔵野は、コロナ以前にも増して新卒採用に力を入れています。また、武蔵野が経営コンサルティングを行っている中小企業で業績の良いところは、前年から倍以上、採用数を増やしています。雇い止めや休業問題が叫ばれる中で、なぜ採用をやめないのか説明しましょう。

コロナ以前は空前の売り手市場で、優秀な人材はみんな大企業に採用されてしまう状況が続いていましたが、今はコロナで打撃を受けている企業が新卒採用を見送っています。だからといって、今の学生が就職をしないわけではない。中小企業の経営者にとって、こんなチャンスはありません。これまでは採用できなかった、レベルの高い人材を採用できる機会です。

多くの経営者が間違えているのは、不景気になると採用をやめてしまうことです。今回のコロナだけでなく、歴史を遡れば就職氷河期のときも、リーマン・ショックのときもそうです。そういう社会の断層とも言えるタイミングで、多少無理をしてでも採用活動を続ければ、優秀な人材を集めることができます。