赤ちゃんを抱っこしながら接客も
モーハウスは子育て中の母親を支援する企業としても評価され、2013年には「ダイバーシテイ経営100選」にも選ばれている。
当初、製品は売れずに会社の経営は厳しかったが、光畑に共感し、モーハウスの仕事をボランティアで手伝う女性たちがだんだん増えていった。満足な報酬は支払えなかったが、面白いからと空き時間に手伝ってくれる女性たちは、みな子連れで来ていた。光畑自身も3児の母で、傍らに子供を置いて仕事をしていた。仕事が忙しくなるにつれて、いつの間にか、モーハウスは子連れママの職場になった。
現在、モーハウスには社員とパートを合わせて45人のスタッフが働いているが、全員が女性で、パート従業員は皆お母さん。多くは子連れで出勤した経験を持ち、現在もスタッフとして子育てと仕事を両立しながら、若いママスタッフたちを支えている。年齢は新卒から40代後半の女性まで、中心は20代後半から30代のお母さんたちだ。
さすがにフルタイムでの勤務は難しいので、週1~2回、勤務時間は4~5時間ほどだ。働く理由は決して経済的理由だけではない。むしろ「家に閉じこもっているのが嫌だから」という従業員が多いという。
本社だけでなく、直営店でも従業員は赤ちゃんを抱っこしたまま接客する。そのため「お店の人なの!?」と驚かれるという。顧客も同じ母親なので、授乳や子育ての悩みを聞いたり、情報交換するなど、お互いに安心でき、働く喜びになっている。
本社でも基本は5時間拘束、4時間勤務で、製品企画、顧客管理、ホームページ制作などを行っている。縫製は国内の契約工場への委託が主となっている。正社員とパートとの仕事内容に違いはなく、勤務時間と責任の重さが違うだけ。働き手の事情を考慮し、勤務時間は朝9~10時から午後は3~4時まで。業務は午前中に集中し、午後3時を過ぎると人はまばらになる。