そして、新たな取り組みとして、ANAでは客室乗務員(CA)6000人のうち1600人ほどいる契約社員の採用制度を廃止し、今春から正社員雇用に切り替えることを決めました。

その狙いは2つあります。一つはCAのやる気を向上させて生産性を上げて会社の利益により貢献してもらうこと。もう一つはCAとしての職業自体の競争力を上げ、優秀な人材を採用できるようにすることです。

CAにも優秀な女性が多くいますが、ANAには女性の管理職も少なくありません。管理職の9.8%は女性であり、部長職でも女性が3.7%を占めています。年々増加傾向にあり、上場企業の平均値を上回る数値ではありますが、今後も女性の活用を含めた多様性を強みにする組織風土の醸成に取り組んでいきます。

地道な取り組みが実を結んだ最高評価

今、いちばん一生懸命に取り組んでいるのが、グローバル人材の育成です。これまで私たち日本企業は、日本という大きなマーケットのなかで育ってきました。今後はそこに安住していては生きていけない。日本のなかにいて、日本の常識だけで物事を考えるのではなく、世界で通用する常識を持ち、世界の動きを肌で感じ取って物事を判断し、行動する。私たち自身が、どうグローバルに成長していけるかが問われています。

ANAグループの求めるグローバル人材は、「世界とたたかい」「よく知られ」「愛される」人です。

「世界とたたかう」というのは、グローバルな競争環境のなかで高い専門性を持って業務を遂行し、変革をリードできること。

「よく知られ」は、多様な価値観のなかでもしっかりしたコミュニケーション力があるということ。会社のこと、日本という国のことを的確に表現し、伝えられる。そして海外の人とも多くのネットワークを持っていること。

「愛される」は、国籍や性別、年齢などを問わない多様性(ダイバーシティ)あふれる世界で、異文化に対する理解力が高く、多様な価値観を素直に受け入れ、尊重できることです。