単なるスローガンだけではグローバル人材は育ちません。グローバルで活躍するためには、英語力も大きな要素です。ANAでは、全社員に毎年TOEICを受けてもらい、700点以上を標準目標にしています。管理職任用試験の条件としてTOEIC700点以上を取ることを課しています。
さらに、新人は入社10年以内に必ず海外勤務を経験させるといった取り組みも行っています。「英語が苦手だ」という社員を真っ先に、強制的に海外勤務をさせたりしています。
実は、これまで外国人のお客さまにANAを利用してもらうという観点からも、サービスの品質をグローバルの品質にするために、いろいろな取り組みを進めてきました。それが成果として表れたのが、イギリスの航空サービスコンサルタント・格付け会社のスカイトラックスによるエアライン・スター・ランキングで、13年に「ファイブスター」という最高評価を獲得することができたことです。現在、世界の航空会社6社が獲得していて、日本ではANAが初めて獲得。空港から機内サービスまでの800を超える項目の審査で、最高評価をいただいた。
今後、グローバルで成長していくためにも、外国人のお客さまの比率を上げていく必要があります。外国の航空会社とのアライアンスや共同事業などを通じて、外国人のお客さまの比率も徐々に上がってきました。日本の航空会社も日本人のお客さまに向けたサービスを提供しているだけではダメです。外国の航空会社の飛行機に乗ると普通に行われているサービス、その基準をしっかりと理解し、外国人のお客さまにも満足していただけるサービスを提供していく必要があります。
ANAグループが成長していくための努力を続けていかなければなりません。今後も年齢や性別、国籍などにこだわらず、多種多様な人材を適切なポジションに配置し、活躍してもらうことが重要だと考えています。
1950年、宮崎県生まれ。県立妻高校、九州大学経済学部卒。74年、全日本空輸入社。社長室事業計画部長、人事部長などを経て、2003年取締役。07年代表取締役副社長を経て、09年代表取締役社長に就任。13年4月ANAホールディングス社長に就任。
座右の銘・好きな言葉:得意淡然、失意泰然
座右の書・最近読んだ本:『限界集落株式会社』(黒野伸一)、『大江戸恐竜伝』(夢枕 獏)
尊敬する経営者・目標とする経営者:なし
私の健康法:ゴルフ、釣り、百薬の長の活用