──施会長は1989年に4人の仲間とASUSを創業し、わずか25年で1.6兆円の売上高をもつ企業へと成長させた。なにが成長のエンジンになったと考えているか。
【施】ASUSはハードウエアから始まった企業だ。最初はパソコンのマザーボードだった。4人の仲間たちは全員がエンジニアで、機械いじりが大好きだ。この点は大きな強みになってきたと思う。デジタルな製品であっても、ものづくりには必ずアナログなつくり込みが必要になる。そのときハードウエアのアナログな理論を知っていなければ、適切なコストダウンは図れない。受け入れやすい価格で、最高のパフォーマンスを出すために、なにが必要か。我々はその点を磨き続けてきた。
注目企業はファナック。ソニーは残念な状況
──施会長は日本企業にも詳しい。いまはどんな企業に注目しているか。
【施】企業では工作機械のファナックだ。強いテクノロジーとユニークなビジネスモデルをもっている。稲葉清右衛門名誉会長の経営手腕には注目している。人物では京セラの稲盛和夫名誉会長だ。私はかなり前からお付き合いがあるが、台湾でも経営者として非常に人気がある。
──スマホ市場において、日本のメーカーはライバルといえるか。
【施】ソニーはすこし残念な状況だ。友人もたくさんいるが、経営はうまくいっていない。サムスンには勝ってほしいと願っている。
施崇棠。1952年、台湾・彰化県生まれ。台湾大学電気工学科、交通大学経営管理大学院を卒業。89年に4人の仲間とともに、ASUSTeK Computerを設立。93年、社長に就任。2008年より現職。