健康診断に呈される疑問
●肥満をめぐるウソ
「軽い肥満の人の死亡リスクは標準体重の人より低い。中程度の肥満の人でも標準体重の人より死亡リスクが高いわけではない」という調査結果を発表。
-米政府機関の米疾病予防管理センター(CDC)による調査(2013年)
●コレステロールをめぐるウソ
悪玉コレステロールを低下させる薬を使用して2年間の治療で患者のコレステロール値を大幅に低減させたが、治療効果はまったく表れなかった。
-米製薬大手メルクと米シェリング・プラウ(SGP)が明らかにした試験結果(2008年)
●血圧をめぐるウソ
2000年以前の高血圧の基準は「上(収縮期血圧)は160以下、下(拡張期血圧)は95以上」だったが、日本高血圧学会は「上が130以下、下は85以上」に引き下げた。これにより、「上が130以上で160未満」の人たちが高血圧患者にされ、薬を飲むことに。
-近藤誠氏
1948年、東京生まれ。73年慶應義塾大学医学部卒業。同年、同大学医学部放射線科入局。79~80年、米国へ留学。83年より同大学医学部放射線科講師。2013年退官。がんの放射線治療を専門とし、乳房温存療法のパイオニア。患者本位の治療の実現に奔走。『がん放置療法のすすめ』(文藝春秋)、『医者に殺されない47の心得』(アスコム)など著書多数。12年、第60回「菊池寛賞」受賞。