知識詰め込み教育では人材は育たない

今も予備校などで英語と小論文の講師を務めるが、中学や高校で行われている「知識詰め込み教育」には疑問を投げかける。

「大学受験の一般入試を突破しようと、世界史などの、重箱の隅をつつくような細かい知識を必死に覚えますね。あれは、頭の中にゴミを入れるようなもの。その意味では、AO入試や推薦入試のほうがはるかに頭のいい学生を受け入れることができますよ。今、世の中が激しく動いています。従来までの知識詰め込み教育では、社会人になった後、太刀打ちできないでしょう」

同世代で、大企業に勤務する会社員の中に、支店長や本店の部長、役員などが現れているようだ。

「私が接していると彼らは、輝いていない。疲れ切っている感じです。知識詰め込み教育を受けてきた世代であり、そこでのエリート。覚えて、点数を取ることは得意だけど、自分でアクションを起こし、成功を勝ち取る意欲に乏しい。会社や社会に飼いならされすぎているのでしょうね。まさに当時(1970~90年代)の教育で重視された高学歴の悪弊ですよ。

彼らに限らず、この世代でゆきづまった人が、数十年前の大学や大学受験の頃を語るのは、今の自分が輝いていないからでしょう。輝いていた頃へのノスタルジーなのではないでしょうか。月日が流れ、今や学歴の意味がガラッと変わっていることを肌で感じるべきですね」

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