生物学者は言う「長生きが地球を滅ぼす」

その寿命が延びだしたのはヒトが農耕を始めてからです。食糧が備蓄できるようになり、栄養状態が良くなると同時に種を残す役目を終えた者でも生きながらえる余裕が生まれたということではないでしょうか。

また、ヒトは脳が発達し、生物の中では唯一考える力や感情を得ました。死にたくない、長生きしたいという思いが生まれ、薬を発見したり医療を発達させたりしました。その結果、心臓が15億回打つ限界をはるかに越えて生きるようになったわけです。

だた、本川氏はこうも書いています。

ヒトの体の品質保証期間は60歳、つまり還暦あたりまでで、それ以降は医療をはじめとする技術がつくりだした人工生命体だと。一部でしょうが、生物学者の書くことは結構過激です。

本川氏などは『長生きが地球を滅ぼす』なんて本を書いていますし、最近テレビに出演することが多くなった池田清彦氏はその著書で「老後のことは考えずに、今やりたいことをすべきだ。それで貯えがなくなったら、野垂れ死にすればいい」なんてことを書いています。

介護を体験し、また介護現場の実情や今後の問題を知ることによって鬱々としていた私にとって、こうした生物学者たちの言葉は、気を晴らしてくれる言葉になりました。とはいえ自分がいざ医師から重大な病気であることを知らされたとしたら、うろたえ、生に執着するにちがいありませんが……。

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