【01】2015年相続大増税:申告の対象者は2倍になる
相続税の基礎控除は、現在、1世帯当たり5000万円、プラス法定相続人1人当たり1000万円となっている。たとえば、父親が亡くなり、法定相続人が母親と子ども2人の場合、基礎控除は8000万円となる。財産(相続税評価額)がこの範囲内であれば、相続税はかからない。
ところが、15年以降は、1世帯当たり3000万円、法定相続人1人当たり600万円になる。前述のケースで言えば、財産の額が4800万円を超えると、相続税がかかるようになる。
これにより、どの程度の影響があるか。私どもの試算では、東京、神奈川、千葉、山梨を管轄する東京国税局管内で、対象者は倍増する計算。これまでは亡くなった人のうち、約5人に1人が相続税申告の対象だったが、15年からは約2人に1人の割合で相続税が申告の対象になる見込みだ。自分の場合はどうなのかをおおよそでも把握して、課税対象になりそうであれば、対策を講じておく必要があるだろう。
【02】東京郊外でも数百万円の納税に:もう自宅は守れない!?
今回、新たに相続税の対象となる家庭の場合、自宅が相続財産の多くの割合を占めているケースが多い。では実際、どの程度の自宅を保有していれば、対象となるのだろうか。図表は首都圏のおもな場所に一般的な面積(約48坪)の自宅を保有しているケースで相続税の額を試算した。
実際の相続では、父親が先に亡くなるケースが多く、その場合、母親が相続人の1人になる。母親は財産の半分まで(1億6000万円が限度)の相続であれば、配偶者控除で税金はかからない。また、小規模宅地等の特例も利用できるので、家庭全体でも相続税の対象とならないことが多い。問題は、母親が亡くなったときだ(2次相続)。
今度は配偶者控除が使えないし、子どもが別に自宅を所有している場合には小規模宅地等の特例も利用できない。結果、これまで相続税の対象ではなかった地域でも、2次相続で数百万円の相続税の負担が発生する可能性がある。