転職が多すぎると採用には不利
高橋氏は、人事部のマネージャーをしていた頃、中途採用試験にも携わった。エントリーをしてきた人の職務経歴書や履歴書などをみると、感じるものがあったようだ。
「転職が多い人のものを拝見すると、いろいろな人生があるのだな、とつくづく感じました。ただし、転職の回数があまりにも多い人は、相当に明確な理由がない限り、当時の当社で採用することはなかったように思います。
30代半ばまでぐらいに、3社ぐらいに勤務していたならばともかく、5~6社以上になると、厳しいのかもしれませんね。こちらも、イメージが湧いてくるのです。この人を受け入れても、長くは続かないかもしれないな、と。この業界は、ある程度は長い目で社員をみないと、正確に判断することは難しいこともあります」
職務経歴書や履歴書を確認するとき、早稲田大学卒の人のものをみることがあったという。
「人生はいろいろだな、と痛感した」としみじみと話す。ここでも、政治経済学部、法学部、文学部、商学部、教育学部と、偏差値ランキング通りの結果にはなっていないようだ。
「新卒のときは、判断する材料が少ないから、学歴も重要なものの1つになりえますが、30代などで即戦力を雇う中途採用試験の場合は、かかわってきた仕事やその中身、実績などに重きを置いて判断します。学歴は、プライオリティーでいえば、それらよりははるかに低くなりますね」
取材の最後のところで、2回、繰り返した。
「当社では、学歴で昇進・昇格を決めていくことはありえないでしょうね。20代前半の頃から今に至るまで、人事のマネージャーを務めた時期を含め、いろいろな人と仕事をしてきた経験から、学歴に関係なく優秀な人材がたくさんいると思います」