インターネットの普及によって、発信側と受け手が同じレベルの情報リテラシーを持ちやすい時代になりました。その恩恵を受けない手はありません。スマホが1台あれば、通勤時間だけでもかなりの情報をピックアップできるはずです。
特定のテーマを追っていると、朝の連続ドラマを観るような楽しみも生まれます。主人公は誰か、見過ごせないバイプレーヤーは誰か。登場人物の相関図が頭に入ると、がぜんニュースがおもしろくなります。この政治家、昨日はこう言っていたのに今日は逃げ腰だな、などと小さな変化もわかるようになるのです。
社会で起きる出来事はAかBかと分離できるほど単純ではありません。メディアから完成品のニュースを受け取るだけではなく、私たちが当事者意識を持って能動的に情報を取りにいく。仕事で使う情報も同じです。誰かに聞いた内容を鵜呑みにせず、もし疑問を持ったなら原典に当たる習慣をつけるといいと思います。
それでも特にお勧めしたいニュースサイトをあげるとすれば、中東のアルジャジーラでしょうか。爆撃する側、受ける側双方のリアルタイムな様子を伝えるなど精力的な報道をしていますし、日本国内のメディアだけを見ていたら持てない視座をもたらしてくれるでしょう。
ニュースソースまでチェックできるのは、お金にも時間にも余裕のある比較的恵まれた人だと思います。ニュースから社会の不条理に気づき、無関心でいられなくなったひとりひとりのアクションが社会問題の解決につながります。それは恵まれた環境にいる人の責務ではないだろうかと僕は考えています。
1977年生まれ。立教大学卒業後、NHK入局。「ニュースウオッチ9」「Bizスポ」などの報道番組を担当。2012年、市民ニュースサイト「8bit.news」を立ち上げる。13年春にNHKを退職。