──中国の時代に備えて、娘さんに中国語を習わせたそうですね。
生まれたときから中国人のベビーシッターをつけたのです。おかげで五歳になる長女は美しい北京語を話します。昨年、これまで住んでいたニューヨークの家を売って、シンガポールに一家で引っ越しました。北京や上海、香港に住むことも考えましたが、これらの都市は公害がひどいため、中国語と英語が使われていて教育や医療の水準が高いシンガポールを選んだのです。今年生まれた次女も、そのうち中国語と英語を話せるようになるでしょう。
やがてアジアの時代が来ることを考えれば、中国語の語学力とアジアでの経験が、親として娘たちに与えてやれる最上のスキルではないでしょうか。もし私が間違っていたとしても、中国語は世界中で約15億人が使っている言語ですから、学んでおいて損はない。日本の皆さんにも、子どもに中国語を学ばせることをお勧めします。日本にとって、中国は重要な貿易パートナーであり、その関係は今後さらに重みを増すはずですからね。
長女には特にお小遣いは渡しておらず、働いてお金を得ることを教えています。部屋の掃除や身の回りのことをやらせるたびにお金を渡し、ブタの貯金箱に貯金をさせる。欲しいものはそこから自分で買わせています。今後弱くなるであろう米ドルの口座ではなく、商品や外国の銀行口座も持たせているんですよ。
──現在、資源高が深刻になっていますが、商品(コモディティ)の時代が来ることも早くから見抜いておられましたね。
株式のバブルが膨らんでいた90年代後半に、次に「商品の時代」が来ることを予見していました。そこで98年、商品先物市場の指数である「ロジャーズ国際コモディティ・インデックス」を創設した。以来、商品相場は380%も上昇しています。
実は、商品と株の強気相場は交互にやってくるのです。つまり株式が上がれば商品が下がり、株式が下がれば商品が上がる。それが18年から20年の周期で巡ってくることは、過去を遡れば明らかです。商品の上げ相場は99年にはじまったので、あと10年ほど強気の相場が続くでしょう。もちろん多少の変動はあるでしょうが、長期的にはもっと高値をつけるはずです。
現在、私が注目している商品は、農産物やレアメタル、エネルギー資源などです。なぜならば、需要が爆発的に増えているから。最も重要な商品である原油を例にとればわかりやすい。中国、インドなどの新興国で石油の使用量が増えているにもかかわらず、新しい油田は過去40年開発されておらず、最大の産油国であるサウジアラビアでも、原油の供給量は79年から事実上増えていない。増大する需要に対して供給が逼迫するのは当然のことなので、そういった商品の価格は上昇するのです。