オフィスのパソコンの立ち上げやメール送信の時刻を記録している人は昔からいるという。
「最近は始業・終業時刻を記録するアプリがあるようです。自己申告のはずなのに社員全員が出社も退社も一律などという会社などは、監督官も先刻承知で、実態はどうなのかをいろいろ調べる。そういうときの参考資料として重視されるのはPCのログだ」(東京法律事務所 菅俊治氏)
法廷に行くか、示談で終わるかはだいたい半々だという。
「働いている間に請求する人はあまりいない。解雇されたときや、不始末を理由に会社側から賠償請求を受けるなど追い詰められたとき。あるいは病気による労災の申請をきっかけに残業代と慰謝料を請求するパターンも。そういう節目でないと、なかなか請求しづらいのでは」(菅氏)
申請しにくい気持ちはわかるのだが、残業代の請求の時効はわずか2年。年が経つと、貰えるはずの残業代もどんどん消えていくのだ。先の塚本氏にそう伝えると一瞬、絶句。が、「まあ、いいです」と、方針を変えるつもりはなさそうだ。
「在職中にも労働基準監督署に行くなどぜひ頑張ってほしい」と菅氏は言うのだが……。