「一番やってはいけないのが、競合他社のほうを見てしまうこと。いいところを変えてしまっては、お客さまが離れかねない。特にスーパードライは王者なので変えられません。ならば、バリューアップすればいい。ブランドには鮮度が必要です。メガブランドのロングセラー商品にも、なにか新しさがないと、ロイヤルカスタマーには満足いただけないし、新たなファンも増えません」
鮮度には情報も含まれる。ビールをどういう状態で飲めば美味しいのか。
冷たーいビールである。
スーパードライを氷点下(マイナス2度~0度)まで冷やした業務用「エクストラコールド」に力を入れる。取り扱い飲食店を10倍の300店に増やす方針だ。
「ビールの温度を議論したことなどないでしょう。夏は4~6度が美味しい、といった程度で。ところが、スーパードライはマイナス2度~0度まで下げても美味しいというデータを得たわけです。これが情報の鮮度ですね」
シャープなキレが持ち味の「スーパードライ」ならではの発想だろう。凍る寸前まで冷やしたビールは、湿気が多くて熱い夜にはピッタリだ。
家飲みユーザーのためにも手を打った。冷凍庫で凍らせるのは破裂の危険性がある。そこで「スーパードライ」レギュラー缶、ロング缶1缶をキンキンに冷やせる「エクストラコールドクーラー」を開発。2ケース買えば必ず手に入る。