4回目ではまだ売るな:お客様との接触は「質」よりまずは「回数」
心理学では繰り返し接触することが相手に対する好意を高めるという実験結果が数多く報告されています。
R・J・モアランドらは女子学生を集め、半分には1週間に1回、同じ男の子の写真を見せ、残りの半分には毎週異なる男の子の写真を見せました。これを4週間続けた後、男の子に対する好意度の変化を調べてみると、同じ写真を見たグループは好意度も信頼度も上がる一方、異なる写真を見たグループに変化はありませんでした。つまり、第一印象さえクリアできれば、基本的に人間は会えば会うほど好きになる。これを単純接触効果と言います。
ただし、4回か5回は接触しないと、相手に対する好意は出てきません。したがって、4回目ではまだ売るな、といえます。販促予算が10万円あるとしたら、5回広告を打つにはどうしたらよいかを考えたほうがいい。お客様のアポが取れたら、どうすればこの人と5回接触できるかを考えるべきです。前述したモアランドの実験では男の子本人に会わせたわけではなく、写真を見せただけです。接触は写真でもいいし、手紙でもメールでも構いません。
私が講演を行うときも、当日までに必ず5回以上接触します。初めての主催者、初めての場所、初めての聴衆を前に1人で話すのはアウエーもいいところです。そこで電話やメールを使い、1週間前に「開催日が近づいてきました。張り切って準備しています」と連絡したり、当日も「いま新潟駅を出ました。予定通り移動しています」と報告を入れたりして5回接触し、相手の私に対する無意識下の抵抗感を下げていくのです。
接触頻度を増やすのに役立つツールがフェイスブックです。友達リクエストしてつながっておけば、毎日でも「いいね!」ボタンを押して私がその人の近況を読んでいることを伝えられるし、コメントを書き込めば、さらに私のことが記憶に残るでしょう。こうしたやり取りはメールや手紙ではできません。礼状を毎月続けて送ったら「こいつは下心があるな」と思われてしまうでしょう。しかしフェイスブックならそうした嫌らしさがありません。