メッシは何を売りにしているのか? 「確実性だ」と答えたのはアディダス・イベリアのスポーツマーケティング部門のトップであるフェルナンド・ソラナスである。なるほど。だが、そんな彼の魅力はサッカー場の外ではどのように活かされるのか?
「彼は今も普通の人間で、シンプルで、家族や友人と一緒に過ごすのが好きな青年だ。多くの場合、スポーツ界のスターは全くの別世界に生きていて、我々のはるか遠くにいるわけだ。だがシャイなままのレオは、フットボールファンと今もものすごく近いところにいる」
それだけではない。当初メッシのイメージとして売られたのは、肉体的なハンデ、成長ホルモンの問題があったにもかかわらず頂点に上り詰めたというものだった。この点を強調して作られたのが2007年にアディダスが広告に使った「Impossible is nothing」だった。努力と粘り強さ、強い意志があれば、何事も不可能ではないと消費者に訴えかけたのだ。
メッシがカメラを前にしてクリスティアーノ・ロナウドと同じように自信や落ち着き、圧倒的な肉体美などを見せられないのは確かだ。
しかし、メッシがコービー・ブライアントと共演した2012年のトルコ航空のCMはYouTubeで1億500万ビューを獲得した。2013年の続編ではコービーとどちらが多くの都市で「自撮り」をできるかという競争を繰り広げ、1億3000万ビュー以上を獲得した。
だが、YouTubeの再生回数だけがメッシがブランドのよき大使であることを証明するものではない。
フランス・フットボール2013の調査によると、このバルサの選手は広告収入で2200万ユーロを稼ぎ出したという。これは最近引退したデビッド・ベッカムの3300万ユーロに次ぐ堂々の2位であり、クリスティアーノ・ロナウドの1650万ユーロを上回っている。
そしてつい最近話題となったスペインにおける脱税容疑でも、メッシのイメージに傷がつくことはなさそうだ。まだ確定しないとはいえ契約に関するスキャンダルに巻き込まれ、一部のビッグブランドが撤退を始めたとされるネイマールとは対照的だ。
※本連載は書籍『Who is the Best? メッシ、ロナウド、ネイマール。最高は誰だ?』(ルーカ・カイオーリ 著)からの抜粋です。