自分の脳の効率を上げることばかり考えがちだが、他人の脳のキャパや特性を考え、負荷をかけすぎないことを意識しつつ仕事をすることも、生産性の向上には欠かせない。
キーとなるのが3という数字。取引先も上司も部下も、情報は1回に3つしか聞いていないと思って間違いない。あれもこれもと詰め込むのはかえって逆効果なのだ。
「部下への指示は、まずこれ、次にそれ、最後にあれ、の3つにすること。それ以上は“たくさん”としか認識されず、どれから手をつけるか悩んでしまいます。逆に確実にと思って一つだけ与えると、単純すぎて飽きてしまう」と篠原教授。
「取引先との会話や上司への提案でも同じことが言えます」と篠原教授は続ける。
「“転”を省いて起・承・結の3つの展開で話をすると相手が理解しやすいのは、話が構造化されているので脳が処理しやすいからです。また、理詰めで話をすることも大事ですが、相手の脳の同じ領域ばかりを疲れさせてしまいます。ときには視覚や聴覚などの領域に訴える工夫も交ぜれば、強い印象を残すことができます」
1956年生まれ。滋賀医科大学卒業。早稲田大学スポーツ科学学術院教授、日本スポーツ精神医学会理事長。日暮里あべクリニック担当医。睡眠医療認定医師。
1960年生まれ。東京大学卒業。諏訪東京理科大学共通教育センター教授。平易な解説でテレビ番組などでも活躍。著書に『勉強にハマる脳の作り方』ほか。