現在、購入型クラウドで最も効力のあるデューデリジェンスになっているのが、「募集する側の責任者本人の情報がネット上で“公衆縦覧”にさられること」(プラットフォーム関係者)。隠し事をしてもネット上にアップされることで、最近の“STAP細胞騒動”のようにどこかでボロが出てくるという。幸いなことに、これまで大きなトラブルは起きていない。しかし、先行した米国ではリターンが不履行になるなどのトラブルが発生しており、決して対岸の火事ではない。
こうしたなかシューティングスターを運営するJGマーケティングの佐藤大吾社長が、「金融機関や監査法人に入ってもらいながら、本人確認、プロジェクトの実現可能性、反社会勢力の排除の三本柱からなる独自の内部基準をつくり、持ち逃げリスクを回避する体制を整えています」と強調するのも、信頼性で差別化を図り、購入型クラウドで優位なポジションを獲得して、早く事業を軌道に乗せたいからのようである。
購入型クラウドの仲介業者のメーンの収益は調達金額に対する手数料で、その相場は調達金額の10~15%となっている。シェアトップのレディーフォーでは12%前後と見られるが、これまで約4億5000万円集めたとしても、スタートからの総収入は5400万円程度と推測され、その台所事情は楽ではなさそうだ。
「今年、購入型クラウドは大きな節目を迎える。いまではプラットフォームの数は100以上ともいわれるが、自分のところの資金が続かずに、ギブアップするところが相当出てくるはず。そうしたなかで、実績に裏打ちされた力のある仲介業者による寡占化が進んでいくだろう」と見る関係者もいる。厳しい状況はファンド型クラウドのMS社も変わらない模様だ。
こうした状況を打破できるかどうかは、ひとえに投資家を魅了し、信頼性を兼ね備えた有望なプロジェクトを抱えた事業者をいかに仲介業者が開拓し続けられるかにかかってくる。ファンド型、購入型ともに、事業者の資金調達のニーズは今後さらに高まっていくだろう。しかし、そのことに甘んじず、仲介業者が目利きの技量を鍛え続けることなくして、クラウドファンディングの定着も、日本再興への寄与もありえない。