ファンド型クラウドの場合、匿名組合契約は投資家と事業者との間で結ばれ、出資金を管理する「組合勘定」は事業者のなかに設けられる。一方、貸付型では匿名組合契約は投資家と仲介業者の間で結ばれて、組合勘定が設けられるのは仲介業者のなか。仲介業者はその出資金を直接外部の借り手に貸し付けていく(図3参照)。法律の面から仕組みを見ると、金商法にもとづいてお金を集め、貸金業法に則って貸し付けているのだ。
問題は提示される利回りで、仲介業者のプラットフォームを開くと、5~6%は当たり前で、15%といった数字まで躍っている。こうした仲介業者に貸付先を照会しても「不動産売買でのつなぎ融資」などという曖昧な答えが返ってくるだけ。自社の株主の構成を明らかにしない業者すらいる。
金融トラブルで被害者の相談に乗ることが多い東海大学の新保恵志教授は「高い利息を払ってまで借りたいというのは、それだけ貸し倒れのリスクが高いことの裏返し。一番安全な投資先は国債で、その利回りである0.6%を上回る金利はすべてリスクで構成されていると考えたほうがいいでしょう」と釘を刺す。もちろん、仲介業者から提示された利回りや元本に対する保証はない。
こうした貸付型の仲介業者は、現在、第二種業者の自主規制団体である第二金融商品取引業協会に加入していない。第一種業者も同じだが、今回の改正案は少額募集業者に対して、日証協や第二種協会に加入しない場合、協会規則に準じる社内規則の整備と、それを順守する体制の整備を義務付けようとしている。
「改正案の成立や、その後の政府令の策定などを見ながら、自主ルールを見直すことになるでしょう。結果、協会への入会が促進され、そのことが事業者や投資家から見て、信頼性の担保になればいいと考えています」と第二種協会の島村昌征事務局長はいう。
しかし、未加入の仲介業者の監視はどこがどう行うのかの問題は残る。それに、出資金を含めた匿名組合の「財産」は事業者に帰属する。事業者が“計画倒産”したとしても、出資したお金が投資家に戻ってくる保証がどこにもないことも覚えておきたい。