購入型で始まる仲介業者の淘汰

残る寄付型クラウドだが、もともと日本に寄付の文化が根付いていないこともあって、盛り上がりに欠けるというのが現状である。結局のところ、日本国内のクラウドについて有望なのは、ファンド型と購入型ということになりそうだ。

そのファンド型クラウドについて金融庁は11年11月に「十分な資本的性質が認められる借入金」について、「資本」と見なすことができる条件を発表した。要は一定の条件は課せられるものの、ファンド型で資金調達すると自己資本比率がアップして、銀行融資が受けやすくなったのだ。当然、事業者のファンド型の利用に対するインセンティブが働く。

また、ファンド型クラウドについては内閣官房が高い関心を示し、有識者会議「ふるさと投資プラットフォーム推進協議会」で「ふるさと投資(地域活性化小口投資)」と位置づけて、支援措置の検討を行っている。

「地場で知られた老舗の中堅・中小企業や、地元の資源を活かそうと起業したベンチャー企業が、銀行融資と併せて3~5年の中期的な資金を地域内から調達する“資金の地産地消”のツールとして利用されていくのではないか」と期待する自治体関係者も少なくない。

一方、購入型クラウドについては製品化のメドがついたり、確実に対価を引き渡すことが約束できるという点で、先のコンセプトや五光発條のように実績に裏打ちされたベンチャー企業や中小のモノづくり会社が、数カ月から1年程度の短期資金を幅広い層から調達する際の利用拡大が予想される。そうなれば、ファンド型との間での棲み分けも進みそうだ。

もっとも資金調達側に対するデューデリジェンスは、ファンド型、購入型どちらのクラウドでも重要で、前者のMS社では提供した資金の使途に関する監査を含めて独自のチェック体制を整えている。となると、同社に続く仲介業者が同様な体制を整備できるかどうかが、ファンド型の拡大に弾みがつくかどうかのポイントにもなるだろう。