「シモの始末の方法を教えてください」

一連の看護は30分ほどで終わり、別室で契約の取り交わしが行われました。訪問入浴の時と同様、何枚もある書類の説明を受けながら署名捺印していくのです。

それが終わると看護師さんは、食事の内容や何時頃に摂っているのか、排便は日に何回、いつごろあるのかといった現在の父の状態を聞いてきました。今後の看護の参考にするためです。

また、薬の服用の指導もしてくれました。要介護老人の多くがそうであるように、父も医師から処方された薬を大量に服用していました。8種類もありました。それを私が管理しのませていました。仕切りのあるボックスに朝、昼、晩の食後、就寝前と区分けし、それに従って与えていたわけです。

その薬を見て看護師さんは現状の父に必要のないものを除くという仕分けをしたのです。たとえばその中には高血圧の薬がありましたが、その時の父の血圧は平常値。服用する必要はないというわけです。それによって薬は6種類に減りました。

訪問看護師さんは月曜と金曜の週2回来てもらうことになり、接する機会が多くなったこともあって、その他にも多くのアドバイスを受けました。

そのひとつにシモの始末があります。

その頃は私も回数をこなしており、一連の処置をスムーズにできるようになっていましたが、素人ゆえの問題も起こしていました。排便の後はまずトイレットペーパーでふき取り、濡れたおしりふきでふいてきれいにするという方法をとっていましたが、きれいにしなければ、という意識からお尻ふきで何度もふいたため、父の肛門の周辺は赤くただれ出血するようになってしまったのです。

当然、父は痛がります。その対処法として私がとったのは、ドラッグストアで勧められた痔の軟膏を塗ることでした。しかし、看護師さんはまったく異なる処置の仕方を実践し教えてくれたのです。