無駄だと思っていたことが最大の武器になる
もちろん、やみくもに挑戦したわけではありません。私には勝算が2つありました。一つは、新規化合物のターゲット疾患の「加齢黄斑変性」の原因に自分なりの仮説を立てていたこと。もう一つは、大学時代に最先端の画像診断技術などに比べて、どちらかといえば古くて地味な技術だと思っていた「網膜電図」。網膜電図とは心電図のように電位の変化を記録してその波形から網膜の状態が正常かを調べる技術です。この2つが突破口になりました。
こうしてアキュセラは創薬支援から製薬へと舵をきりました。ベンチャー企業の多くは、最初のビジネスモデルは破綻するといいますが、この経営判断をくだした時がまさにそれに値するものだったのです。