無駄だと思っていたことが最大の武器になる

もちろん、やみくもに挑戦したわけではありません。私には勝算が2つありました。一つは、新規化合物のターゲット疾患の「加齢黄斑変性」の原因に自分なりの仮説を立てていたこと。もう一つは、大学時代に最先端の画像診断技術などに比べて、どちらかといえば古くて地味な技術だと思っていた「網膜電図」。網膜電図とは心電図のように電位の変化を記録してその波形から網膜の状態が正常かを調べる技術です。この2つが突破口になりました。

こうしてアキュセラは創薬支援から製薬へと舵をきりました。ベンチャー企業の多くは、最初のビジネスモデルは破綻するといいますが、この経営判断をくだした時がまさにそれに値するものだったのです。

窪田 良(くぼた・りょう)●1966年生まれ。アキュセラ会長・社長兼CEOで、医師・医学博士。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学院に進学。緑内障の原因遺伝子「ミオシリン」を発見する。その後、臨床医として虎の門病院や慶應病院に勤務ののち、2000年より米国ワシントン大学眼科シニアフェローおよび助教授として勤務。02年にシアトルの自宅地下室にてアキュセラを創業。著書として『極めるひとほどあきっぽい』がある。 >>アキュセラ・インク http://acucela.jp
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