1990年代後半に創業した新興企業のOBから、新たなビジネスが続々と生まれている。起業家を大量生産する「新・人材輩出企業」の秘密に迫る。
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人材輩出企業の変遷

転職や独立、起業して活躍できる人材を生み出す「人材輩出企業」は、時代によって移り変わります。少し昔でいうと野村證券や日本IBM、1990年代から2000年代にかけてはリクルートやアクセンチュア、マッキンゼー、最近では楽天やDeNA、サイバーエージェントなどから、優れた起業家が生まれています。

これら人材輩出企業には、3つの共通点が挙げられます。

スローガン社長 伊藤豊 
東大卒業後、日本IBMを経て大学生のベンチャー企業への就職支援を行う同社設立。

1つ目は、経営者や経営中枢にいる人と仕事をする機会が多いことです。たとえば、コンピュータがとても高価だった時代、購入の決裁は社長が行っていました。そのため、IBMの担当者は社長と話をする機会が多かったのです。彼らと日頃から接していると、経営的な観点からビジネスを見られるようになります。成長中の小さな規模の会社では、自社の経営陣と接する機会が多いのは言うまでもありません。

2つ目は、20代でも結果を出せば、責任あるポジションに就けることです。たとえば、楽天、DeNA、サイバーエージェントからは20代の執行役員が生まれています。若手でも出世できるカルチャーは社員の成長を促します。

3つ目は、起業することのハードルの低さです。たとえば、楽天、DeNA、サイバーエージェント出身の起業家の多くはネットビジネスを展開しています。製造業などに比べ初期投資がかからず、比較的ローコストで起業できるのもその要因でしょう。