内定者を子会社社長に抜擢したサイバーエージェント。新人研修は1週間というDeNA。仕事の進め方が「仕組み化」されている楽天……。各社トップに、自律型人材を生み出すカラクリを聞いた。

Q. 挑戦させる仕掛けは?

【DeNAヒューマンリソース統括部長 對馬誠英氏】
新規事業のアイデアをアピールする「IDeA Talk」(アイディアトーク)を開いています。ただ、もともと自走力の高い人を採用しているので、こちらが用意した仕組みに関係なく、上司や役員に直談判する人が多いですね。うちは誰が言ったかではなく何を言ったのかを重視しているので、提案者が誰であろうといいプランであればゴーサインを出す企業文化があります。


IDeA Talk
●IDeA Talk
有志が集まり、アイデアの発表や意見交換が行われる不定期の社内イベント。カジュアルな気持ちで参加できるよう、社内の24階にあるカフェで行われている。



【サイバーエージェント取締役人事本部長 曽山哲人氏】
新しい事業をやりたい社員は、「ジギョつく」という新規事業プランコンテストに応募できます。事業プランコンテストを行っている会社はほかにもあると思いますが、当社はプラン提出のハードルを下げて参加しやすくしている点が特徴です。去年は正社員の約4分の1にあたる400人から応募がありました。そのうち役員プレゼンに進むのは30案。事業化に至らなくても、ジギョつくで目立った人は後で抜擢されることが多いです。


ジギョつく
●ジギョつく
年に一度開催される新規事業案コンテスト。内定者から役員まで、誰でも応募できる。各部署で新規事業を考える「コミュつく」、ゲームアプリコンテストの「Gつく」など、ジギョつくの派生イベントも行われている。

【楽天グローバル人事部担当役員 杉原章郎氏】
事業プランコンテストは、2011年を最後にやめました。毎回たくさんの応募があったのですが、選考のプロセスが長いため、なかなかアクティブに進んでいかなかったのです。おもしろいプランを吸い上げるには、何かプログラムを用意してそこに乗せるより、自由に出して、自由に揉んでいくやり方をしたほうがいい。もともと楽天には、縦横無尽に提案しやすい風土があります。たとえば別の部署の上司に事業プランを提案しても、直属の上司が「俺を通せ」といって邪魔することもない。その意味ではチャレンジしやすい会社だと思います。