暗黙知【7】――ほめ言葉を連発していないか?

相手と親しくなったり、共感を得るには、ほめることが大事だと一般的には言われています。確かに「すごい」「さすが」
「すばらしい」といったほめ言葉は、円滑なコミュニケーションには必要かもしれません。

しかし、「稼ぐ人」はこれらのほめ言葉をあまり使いません。なぜなら、安易に迎合する人は下心があると思われて、信用されないことを知っているからです。

「稼ぐ人」にはただでさえおべっか使いが寄ってくるので、おべっか使いかそうでないかはすぐに見破られます。私もある成功した人から、「信頼を得たいなら、誰にでも受け入れられようとするな。自分の好みや価値基準をきっちり伝えて、それに合わないヤツとはつき合わないくらいの覚悟を持て」と教えられました。

「稼ぐ人」との会話では、「あなたは何者か」「何ができるのか」を鋭く質問されます。だから私もはっきりと伝えます。

「私は年収1億円以上の顧客を50人抱えるファイナンシャル・プランナーです。あなたのお金を増やすことができます」。成功している人にとっては、ほめ言葉やおべっかよりも実績や成果こそが評価の対象であり、その人ならではの考え方や価値基準を知りたいと思うのです。

ときには相手にとって耳の痛い真実を伝える必要もあります。私も顧客に対して、「そんなことをしていると失敗する」とズバリ忠告したことがあります。なかなか言えませんが、相手を敵にまわしても真実を伝える覚悟がなければ、「稼ぐ人」からの信頼は得られません。