経営もスポーツも大切なのは「土づくり」

始めたころと練習量は変わりませんが、質は変わりました。初めは、とにかくがむしゃらに泳いだり走ったり、いかに距離を長くやるかでした。でも、ちょっと待てよと。速い人は間違いなくフォームがきれい。自己流のフォームじゃ、絶対上達しないと気づき、トレーナーについてもらい、ビデオでフォームのチェックをしています。

ランニングマシンは時速2キロメートルで歩き始めます。足の運び、着地、骨盤の動かし方などを確認し、正しいフォームを体に染み込ませてから徐々にスピードを上げていく。水泳でも同じで、練習の半分は流れるプールで足をつき、底のミラーを眺めてストロークのチェックに当てます。

それからコンディショニングにも力を入れるようになりました。肩甲骨や股関節の可動域を広くし、柔軟性を高めるようにしています。

正しいフォームを身につけると、速くなる、楽になるだけじゃなく、故障しにくくなります。やはり土台が大切なのです。

会社経営の土台を私は「土づくり」と呼んでいますが、経営のスピリットや理念といった目に見えないものこそしっかりつくり、価値観を共有し、浸透させなくてはいけません。

スポーツ選手と話していても大事なのは体幹、肚だといいます。「肚」は、「にくづき」に「土」と書きます。花づくりもビジネスもスポーツも相通じるところはある。人間のやることですからね。

パーク・コーポレーション代表 井上英明
1963年、佐賀県生まれ。1993年、「Aoyama Flower Market」第1号店を南青山にオープン。2011年、アイアンマン完走。80歳までアイアンマンにチャレンジし続けるのが目標。
(構成=小桧山 想 撮影=プレジデント編集部)
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