始めたいと思ったら、とりあえずオリンピックディスタンス(表参照)に申し込んでみることです。あとはスピリットがあるかないか。できるからやるのではなく、できないかもしれないけれど一歩踏み込む。大会の日、1日だけがレースじゃなくて、大会に向けてのトレーニングすべてがひとつのレースなのです。
私がトライアスロンに初めて参加したのは8年前。今では年間6、7レースに参加しています。
きっかけは、建築家のエドワード鈴木さんが「人生の折り返し地点、40歳で挑戦した」という記事を30代半ばに読んだこと。そうか、やるなら40歳には始めないと、人生の後半戦がダラッとしそうだぞ、と思いました。40歳になり、友人の会社経営者と飲んでいたときに「やらない?」と誘ったら、「おう、やるか!」。それが始まりです。
すぐにオリンピックディスタンスにエントリーしました。バイク(40キロメートル)とラン(10キロメートル)は地面に足がついているから、タイムさえ気にしなければどうにかなると思いましたが、不安だったのはスイム(1.5キロメートル)。足のつかない海でなんて泳いだことがなかったですから。
でも、ハードルが高いほどモチベーションは上がります。どうやったら課題を克服できるのか、その手段を考えて実行に移す。そのプロセスが楽しいのです。
生き方にはおそらく2つのタイプがあると思います。理想がある、でも現実はそうじゃないとき、一つは理想をフィックスして現実を変えていくタイプ。もう一つは現実を仕方ないものとして受け入れ、理想を下げてしまうタイプ。
トライアスロンにハマるのは前者の「理想を実現するために今の自分をどう変えていくか」ということに興味がある人。実際、ベンチャー企業の経営者や医者、弁護士など、多忙な人が多い。トライアスロンは、ハードルが高いほど燃える人には魅力ある競技ですが、逆のタイプにとってはとんでもないスポーツです。
私の場合、細かい練習計画は特にありません。そのかわり、お昼に1時間空いたら、すぐにジムへ行って泳いだり、夜の飲み会までに1時間あったら走る。1時間以上の空きがあれば、スイムかランの練習。自転車だけは週末に郊外で走り込みます。